松山地区SHF研究会 技術担当幹事
JA5GYU 近藤恒幸
平成13年6月24日、 ついに念願の日がやって来ました。
四国初、5.6GHzリピター「JP5YCK」 の開局式です。
全国に先駆けて松山地区SHF研究会が行っている5.6GHzロールコール連続300回達成
を記念して約2年の歳月をかけ開設準備し、ついに完成の日を見たのです。
開局式は、リピターの設置場所松山市「成願寺」でJARL愛媛県支部・松本支部長、マキ電機
社長・槇岡さんご夫妻のご臨席を頂き、盛大に行われました。
詳細は、下記ホームページをご覧下さい。
http://www.jarl.com/m-shf
5.6GHzのレピターを開設するためには多くの問題点があります。
これらの問題点は、当研究会のアクティブさと、マキ電機さんのご協力で解決しました。
開設までの足取りは次のとうりです。
平成11年10月 | リピター設置の構想まとまる。 機材の調達を開始する |
平成12年6月4日 | リピター設置準備会を開催 アンテナの開発に着手>>JA5GYUが担当 |
平成12年11月22日 | リピター親機の調達が出来、マキ電機さんよりお披露目される |
平成13年 1月17日 | リピター用アンテナ完成、無線機器収容ボックスの取付完了 |
〃 1月28日 | リピターのアンテナ工事を実施し伝搬試験を行う |
〃 4月 8日 | リピターのアンテナを活用してビーコンを設置。 |
〃 4月16日 | JP5YCKの識別信号で免許が許可される [ 5765.10MHz] |
〃 5月17日 | 5.6GHzへのトランスバターが完成し、マキ電機より到着 |
〃 5月20日 | すべての機材を設置し、試験電波を発射する。 |
〃 6月24日 | 開局式を開催、本格運用に入る。 |
さて、無線設備の設置場所ですが、SHFともなると無線機器はアンテナ直下が理想ですが、当
クラブでは、あえて地上設置にしました。
機器の点検と設備の更改を考えると地上で容易に作業できるほうがベストだと判断しました。
SHF帯の機器機器においては、補修や設備の高性能化による取り換えなどがたびたび発生する
ことと考えたためです。
機器の収納ボックスは、屋外通信機器のジャンクで堅牢な鉄製のボックスが手に入り耐雷トラン
スも組み込んだ本格的な物となりました。
ボックス内の温度設定(現在30度で設定)で換気ファンを起動させるようになっています。
機器の取付は、標準ラックがついており、簡単かつ理想的な取付ができました。
5.6GHzバンドのリピターで使えるアンテナの市販品はなく、難題です。
いろいろ検討の結果AGBアンテナを研究の上、採用することにしました。
選定理由は、構造が頑丈で送受信の回り込みを防止できる点が優れていることでした。
反面、防水や受風面積が大きく、垂直面内の指向性問題があり、苦労しました。
アンテナの研究・開発期間は、6ケ月も要しました。
主材料は、フライパンですが、いろいろな形、大きさ、材質を試すためたくさん買い込み実験を繰
り返しました、周辺のスーパーやDIY店はすべて回りました。
平成12年の暮れも押し迫った、スーパーの歳末商戦で偶然最良のフライパンが見つかりました。
1個398円で山積みされていました。
綺麗にカラーリングされたピンクと青のフライパンを2個づつ買い、早速組み立てたところ高性能
で見栄えのいいアンテナが完成しました。
取付は、鉄製取付レールを介してタワーに直づけにし、風圧加重に耐えるようにしました。
タワーに付けることで一部のエリアが不感になりますが、その方向にはちょうどユーザーがいな
かったので助かりました。
アンテナの構造を第1図と写真−2に示します。
クリックすればエクセルワークシートが表示できます。 (PDFは準備中) 写真−2 |
給電点の防水は、底の深いポリプロピレン製コップを切り取って使い、上部はアルミ製フライパ
ン鍋の蓋をそのまま取付て、送受信の回り込みと防水対策を兼ねました。
ネジと、同軸コネクター以外の主材料は、スーパーマーケットで調達したことになります。
設備全体の構成図を第2図に、アンテナの取付状況を写真−3に示します。
クリックすればエクセルワークシートが表示できます。 (PDFは準備中) 写真−3 |
リピターの規格は次のとうりです。
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企画から、設置工事、測定、折衝などクラブ員の献身的に努力により完成しました。
完成時の喜びは、自分の局が開局した時のように新鮮でときめきに満ちた最高の気分でした。
受信アンプの採用でアクセスの感度は抜群で、送信からの感度抑圧や不要電波の混信もなく
快調に動作しています。
道後平野を中心に交信が行われ、遠くは北条市、大分県国東方面からも交信の実績があります
当リピターは、愛媛県全域を管理する「愛媛レピター研究会」の組織に組み込まれて、地域に密
着した、運用体制がとられています。
今後このリピターを介して松山地区を中心に愛媛県下、おひび近隣県のS・EHF帯の活性化に 寄与できたらと研究会メンバー一同期待しています。
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以 上